夏の飲み物と言えば麦茶が昔から親しまれてきました。炒った大麦を熱湯で煮出し、冷たくしたものが麦茶です。
ほんのりとした苦味と、かすかな甘みがあり、香ばしい香りとともに、暑い夏には欠かせません。
江戸時代には「むぎ湯」と呼ばれ、庶民の飲み物として親しまれてきました。
現在は自家製の麦茶は冷蔵庫で簡単に冷やすことができますが、昔は井戸の中につるしたり、
瓶などに詰めた麦茶を流水や湧き水などにつけて、冷たく冷やして飲んでいました。
江戸時代の麦茶は、煎茶が普及されるまえから飲用されていて、江戸時代後期には麦湯店などもあったようです。
子供達には砂糖を入れた甘い麦茶が喜ばれ、その人気は現在も衰えていません。
そして、麦茶は熱中症の予防や夏バテ防止にも、積極的に利用したい健康ドリンクです。
水分補給に役立つのはもちろんですが、麦にはカリウムやマグネシウムが多く、血液をサラサラにする作用が期待できるのです。
夏場は大量の汗をかきます。
汗をかくとカリウムが汗とともに失われてしまいます。
すると筋肉の働きが低下し、力がでなくなり、疲れを感じ、夏バテを起こします。
夏バテはビタミンB1が不足しても発生します。
麦茶の原料の麦には、カリウムとビタミンB1の両方が含まれているのです。
麦茶は夏場にもっとも活用したい飲み物です!
カリウムの働き
人体に必要なミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをします。
ナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節する上で重要です。
カリウムは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしています。
また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
一方、不足するとこれらの働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。
なお、大量に摂取した場合でも体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病の予防を目的とした成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を、男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。
また、2012年に公表されたWHOのガイドラインでは、男女とも3,510mg/日を推奨しています。