【開催レポート】未病を可視化!リスクを知って予防につなげる「アミノインデックス🄬新検査項目(認知機能低下)」記者説明会

~‟認知機能低下“発見し、食事や睡眠、生活習慣を見直し!~

味の素株式会社(社長:西井孝明 本社:東京都中央区 以下、当社)は、10月27日(火)に「アミノインデックス🄬新検査項目(認知機能低下)」記者説明会を開催いたしました。

 

(左から)新潟大学脳研究所 生命科学リソース研究センター教授 池内健先生、味の素(株)取締役社長 最高経営責任者 西井孝明、東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム研究部長 北村明彦先生(左から)新潟大学脳研究所 生命科学リソース研究センター教授 池内健先生、味の素(株)取締役社長 最高経営責任者 西井孝明、東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム研究部長 北村明彦先生

<「アミノインデックス🄬」とは>
1回の採血で血液中のアミノ酸濃度バランスから、現在の健康状態や病気の可能性を評価する検査です。2011年のがんリスクスクリーニング【AICS🄬(エーアイシーエス)】から展開し、2017年に生活習慣病リスクスクリーニング【AILS🄬(エーアイエルエス)】として糖尿病発症リスクと段階的に評価項目を拡大させ、三大疾患をカバーすることが可能となりました。
今回の説明会では、2020年10月より【AILS🄬(エーアイエルエス)】に‟現在の認知機能低下の可能性“を評価する項目を新たに追加し、新サービスとして開始したことを発表いたしました。はじめに、当社の取締役社長 最高経営責任者 西井より本事業取り組みの背景や今後の方針について説明しました。次に、共同研究する新潟大学教授の池内先生、東京都健康長寿医療センター研究所の北村先生より、最新の知見と共に、認知症の早期発見の重要性などについて解説いただきました。 

<開催概要>
■名称 :「アミノインデックス🄬新検査項目(認知機能低下)」記者説明会
■登壇者:味の素(株)取締役社長 最高経営責任者 西井孝明
新潟大学脳研究所 生命科学リソース研究センター教授 池内健先生
東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム 研究部長 北村明彦先生
味の素㈱アミノインデックス事業部長 影山陽子

  • ご挨拶  

味の素(株)取締役社長 最高経営責任者  西井孝明

■「食と健康の課題解決企業」である当社は、‟認知機能低下“予防に注力
味の素グループは、2030年に食と健康の課題解決企業に生まれ変わるということを目指し、アミノ酸のはたらきで、世界の健康寿命を延ばすことに貢献することをグループビジョンに掲げています。現在、コンシューマー製品が、世界中の生活者 約7億人との接点となっておりますが、この接点を10年後には、健康増進や食習慣改善にも広げ、10億人の健康増進に貢献して参ります。
味の素グループが100年以上にわたり研究してきた「アミノ酸」は、体の働きを維持し調整するため、「いのちのもと」と考えています。
今回は、特に近年課題となりつつある認知症患者の増加をうけ、 “認知機能”に注目し、リスク検査「アミノインデックス🄬」に新たに認知機能低下を発見する評価項目を追加しました。

■「食」と「ヘルスケア」の知見を活かし、パーソナライズ事業へ
このリスク検査サービスを皮切りに、個々人の将来の認知機能低下リスクを分析し、アミノ酸濃度バランスの改善をパーソナライズ化するプロジェクトを予定しています。これは、IoTやデジタル技術を駆使し、生活者に栄養や健康上の気付きを与え、個々人の特性に合わせて、確かな情報に基づくソリューションをワンストップで提供していくものです。まず、アミノインデックス🄬で血液中のアミノ酸濃度バランスからみた認知機能低下を早期発見し、独自開発のアプリで食事チェックした上で、脳機能に必要な栄養素やそのバランス状態を把握。さらに食以外の生活習慣もチェックし、認知機能に着目した独自のアルゴリズムで、食及び生活習慣と認知機能低下の関連性を分析して運動、睡眠といった多方面でのアドバイスや、サプリメント等を通じてライフスタイルをサポートします。これは、食とヘルスケアに関する知見と技術を有する味の素だからこそ提供できるソリューションです。
今後も生活者が自らの健康状態を把握する手段と共に、様々な疾病の予防や早期発見につながるソリューションを提供することにより、生活者の快適な生活の実現に寄与します。

  • 「アミノ酸バランスと認知機能低下の早期発見」講演内容

新潟大学教授脳科学研究所 生命科学リソース研究センター
遺伝子機能解析学分野 教授 池内健先生

■認知症、その予備軍「軽度認知障害(MCI)」が増加傾向!予防は、MCIの早期発見がカギに!?

参考:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(H26報告)参考:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(H26報告)

現在、日本の認知症患者は年々増え続けており、認知症患者またはその予備軍である「軽度認知障害」(以下、MCI)を合わせると65歳以上の高齢者の約1/4に相当します。認知症によって、患者自身のQOL低下に加え、介護者の負担や医療・介護費の増大など社会的コストが問題となっています。 

【認知症】
アルツハイマー型・脳血管性・レビー小体型など様々な病型があり、最も多い病型は、根本治療法が未確立である「アルツハイマー型認知症」で、認知症患者の約6割を占めます。

【軽度認知障害(MCI)】
認知症発症の可能性がある認知症予備軍「MCI」の方は、年間約5~15%が認知症を発症する高リスク群と言われています。

認知症予防の観点からは、MCIの段階で発見し、MCIから認知症に移行させない、移行を遅らせることが重要。早期発見によって、日常生活を見直し生活習慣を改善することで、認知症への移行を食い止めたり、遅らせるなどの対応が可能になることも。また、これからの暮らしに備え、家族や周囲の方との時間の確保もできます。

■現状の認知症診断検査は‟費用が高い“ ‟医療機関が限定される”など問題も!
必要なのは、簡単に早期発見が可能なバイオマーカーの開発

現在、認知症診断に用いられる代表的な検査として、①認知機能検査 ②血液検査 ③脳脊髄液検査 ④脳波検査
⑤画像検査 などが挙げられます。ただ、これらの認知症診断検査は、検査が行える医療機関が限定されたり、費用が高いなどの問題もあります。このような状況から、血液検査など、侵襲性が少なく簡単に実施できる早期発見に役立つバイオマーカーの開発は喫緊の課題です。

■MCIを発見!新潟大学×味の素 MCIコホート研究  新しいバイオマーカーの開発
今回、従来の認知症のバイオマーカー開発とは異なる視点から、新潟大学が味の素と共に、MCIコホート研究を実施。血中アミノ酸濃度バランスに着目することでMCIに対する新しい評価方法を開発しました。
認知機能が健常な方と、MCIの方とで、血中のアミノ酸濃度を比較すると、①MCI者は、認知機能が健常な方と比較し、複数のアミノ酸が低いこと、②特に、ヒトの体内で合成できず食事から摂取する必要がある必須アミノ酸の濃度が低いことが分かりました。
これらの研究結果より、MCIの方は、タンパク質摂取不足等の栄養面に課題がある可能性があると言えます。

  • 「認知機能低下を防ぐ栄養と生活習慣に関して」 講演内容

東京都健康長寿医療センター研究所
社会参加と地域保健研究チーム 研究部長 北村明彦先生

■認知機能低下の進行は、生活習慣で食い止める!
認知症やMCIのリスクを高める可能性がある危険因子として、「高血圧」「糖尿病」「メタボリックシンドローム」などが挙げられます。その危険因子のうち修正可能なものは約35%と言われており、生活習慣のコントロールと認知症の発症リスクは密接に関係しています。そのため、認知症の発症前に生活習慣を改善することで、認知機能低下の進行を防ぐことにつながるのです。
運動や食事、睡眠など意識することが重要と言えます。 

参考:認知症疾患ガイドライン2017(日本神経学会) Livingston G. et al, Lancet, 2017 (390) 2673–734 参考:認知症疾患ガイドライン2017(日本神経学会) Livingston G. et al, Lancet, 2017 (390) 2673–734

■生活習慣の改善が認知機能に効果あり!?研究結果
▼研究結果1. 「FINGER研究」フィンランドの高齢者に栄養・運動介入を行った大規模研究 

フィンランド在住の60-77歳の高齢者(N=1260)を対象として2年間、栄養指導・運動指導したグループと何も指導していないグループの比較を実施。その結果、記憶機能には有意な効果は認められなかったが、バランスの良い食事と運動の継続により認知機能は維持されることが明らかになりました。

出典:Ngandu T et al,  Lancet(2015)より作成出典:Ngandu T et al, Lancet(2015)より作成

▼研究結果2. 食事調査の実施(アメリカの研究)
MCIや認知症患者を除く、認知機能が健常な70-89歳の高齢者(N=937)に対し、食事調査を実施し、摂取している栄養素の量を算出し、約3.7年間経過を追跡。その結果炭水化物の摂取比率が最も高い区分、たんぱく質の摂取比率が最も低い区分で、認知機能低下リスクが高いという結果に。

出典:Roberts RO et al, J Alzheimers Dis.(2012)より作成出典:Roberts RO et al, J Alzheimers Dis.(2012)より作成

■認知症は「フレイル」と関係あり!?
「フレイル」とは、健康と要介護の中間的な位置づけのことで、要介護状態の一歩手前の状態を表します。「こころの機能」、「からだの機能」、「社会的機能」を総括した概念であり、健康機能延伸のためにはフレイルを予防することが重要です。
その中で「こころの機能」の低下原因は生活習慣病と、老年症候群です。生活習慣病の中には認知症の一部も含まれており、認知症・認知機能とフレイルは相互に関係しています。「フレイル」の予防のためにも、十分なたんぱく質の摂取などバランスのとれた食事が重要です。

  • 新「アミノインデックス🄬リスクスクリーニング」のご紹介と今後の展開

味の素㈱アミノインデックス事業部長 影山陽子

■未病を可視化!リスクを知って予防につなげる「アミノインデックス®検査」とは
「アミノインデックス🄬検査」とは、血液中のアミノ酸濃度バランスから、現在の健康状態や病気の可能性を明らかし、病気になる前の段階である未病を可視化し評価するもので、リスクを知ることにより予防に繋げることを目的としています。
「アミノインデックス🄬リスクスクリーニング」(AIRS🄬)は、「アミノインデックス®がんリスクスクリーニング」(AICS🄬)と「アミノインデックス🄬生活習慣病リスクスクリーニング」(AILS🄬)を同時に受診できる検査の総称で、1回の採血で、血液中のアミノ酸濃度バランスから、がん、脳卒中、心筋梗塞の三大疾病と、認知機能低下を評価できます。

■‟認知機能低下“項目 開発概要
味の素と新潟大学の共同研究として、全国13施設の大学・医療機関との協力体制にて臨床研究を実施。
MCIを含めた240人のデータを集め、認知機能が健常な方とMCIの方のアミノ酸濃度バランスを比較。比較結果は、数式に変換しその数値から、3つのランクに分類。ランクが上がるにつれて、実際に認知機能低下の可能性が高くなるということも確認できたため、得られた数式を新しい認知機能低下の評価式として提供します。

■「アミノインデックス®」の今後の展開
「アミノインデックス®」は、検査結果からの生活習慣に起因する疾病の早期発見や予防(行動変容)をサポートし、健康寿命の延伸に貢献しています。従来は冊子の生活改善ガイドとして、情報やアドバイスをご提供していましたが、今回、認知機能の項目追加を機に、オンラインでのマイページ開設を予定しています。デジタル上でよりパーソナライズされた生活改善行動やアドバイスが提供可能になります。

  • 登壇者プロフィール

味の素(株)取締役社長 最高経営責任者 西井孝明
大学卒業、味の素入社。
2002年から人事を担当し、味の素冷凍食品取締役家庭用事業部長を経て、2009年から味の素人事部長。2011年執行役員に昇格。
2013年から取締役常務執行役員ラテンアメリカ本部長兼ブラジル味の素社長として、現場主義でブラジルの商店を回った。
2015年6月より現職。

新潟大学脳研究所
生命科学リソース研究センター教授 池内健先生

専門分野は「認知症学」
バイオマーカー開発とゲノム研究を研究の二つの柱として、認知症医療の変革を目指した研究を行っている。国内有数の認知症のバイオリソースを構築しており、バイオマーカーを用いた認知症の早期診断法の医療への実装化を推進している。

東京都健康長寿医療センター研究所
社会参加と地域保健研究チーム研究部長 北村明彦先生

医学博士。大学院医学研究科を修了後、大阪府立成人病センター、大阪府立健康科学センター、大阪がん循環器病予防センター、大阪大学で診療・研究・教育に従事。2016年1月より現職。生活習慣病予防と介護予防という壮年期・高齢期の両健康を専門分野としており、脳卒中・心臓病・高血圧・脂質異常・糖尿病の予防に加え、フレイル・ロコモティブシンドローム・認知症の予防を研究テーマとしている。

味の素㈱アミノインデックス事業部長 影山陽子
味の素入社後、医薬品部門R&D、マーケティング担当を経て、
2014年よりアミノインデックスのR&Dを担当。
2017年からバイオ・ファイン研究所アミノインデックスグループ長を経て、2020年7月より現職。

<アミノインデックス🄬リスクスクリーニング(AIRS🄬)>
血液中のアミノ酸濃度バランスから、様々な疾患リスクを1回の採血で評価する検査。
味の素株式会社商品情報サイト
https://www.ajinomoto.co.jp/products/aminoindex/index.html

2020年10月6日付プレスリリース
「~「アミノインデックス🄬リスクスクリーニング(AIRS🄬)」に新サービス追加~
1回の採血で三大疾病のほか認知機能低下のリスク評価が可能に!」
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2020_10_06.html

味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指しています。
私たちは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現してまいります。
味の素グループの2019年度の売上高は1兆1,000億円。世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼります(2020年現在)。詳しくは、https://www.ajinomoto.co.jp/をご覧ください。