『春苦味、夏は酢の物、秋辛味、冬は油と合点して食え』。
これは明治時代の食養研究家の石塚左玄氏の言葉です。
これは昔から言われてきた健康法で、季節ごとに取るべき味の特徴を覚えることによって、暑さ、寒さに負けない健康管理をしてきたのです。
春の山菜や木の芽の苦みには消化を助ける成分やビタミンCが多く、
夏の酢の物には夏バテを防ぐ力があります。
秋の苦みは食欲増進作用があり、
冬に備えてエネルギーを蓄え、冬の油料理は寒さに打ち勝つ体力を付けます。
特に重要なのは夏で、猛暑を乗り切るためにクーラーなどのなかった昔は苦労をしました。
熱いと寝不足になったり、食用が落ち、スタミナ不足になったのです。
そので暑さに負けず長生きするために昔の人は「夏は酢の物」としました。
夏の料理と言うとキュウリ、わかめなどの酢の物、刺身の酢味噌和え、酢をたっぷり使った野菜サラダなどが浮かんできます。
酢の酸味成分は、酢酸やクエン酸などの有機酸で、単に食欲を進めるだけではなく、強い殺菌作用や血液サラサラ効果もあります。
酢の物をとったあと、頭の中がスッキリして体も軽くなるのは、血行が良くなって疲労などが原因で体にたまりやす乳酸などの疲労物質が解消されるためです。
酢の物をうまく食事に取り入れ、暑い夏を乗り切りましょう!
ご紹介
石塚 左玄(いしづか さげん、嘉永4年2月4日(1851年3月6日) – 明治42年(1909年)10月17日)
明治時代の日本の医師・薬剤師、であり陸軍で薬剤監、軍医を勤めた。
玄米・食養の元祖で、その食養は食養会につながり普及活動を行った。
福井藩(現福井県)出身。陸軍で薬剤監となった後、食事の指導によって病気を治した。
栄養学がまだ学問として確立されていない時代に食物と心身の関係を理論にし、医食同源としての食養を提唱する。
「体育智育才育は即ち食育なり」と食育を提唱した。食育食養を国民に普及することに努めた。